キウイフルーツと聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
キウイフルーツについて、あなたは何を知っていますか?
どんな木になっているの?旬は?おいしい切り方は?
身近だけれど意外と知らない。キウイにまつわる色々なことを、山口県阿武町でキウイを生産している藤井さんと田原さんが教えてくれました。
阿武町でキウイの生産が始まったのは、40年程前。それまで夏みかんを特産としていたのですが、和歌山や九州などの大規模な生産地の影響で出荷量が減少したため、夏みかんに代わる農産物として作られ始めました。阿武町の中でも、特に沿岸部ではその温暖な気候がキウイの生産に適しているそうです。
阿武町で生産されている主な品種は「ヘイワード」という、果肉が緑色のもの。糖度や大きさなどに厳しい規格が設けられた阿武町のキウイは、その品質の高さから「やまぐちブランド」に認定されています。
阿武町のキウイに関する知識を入れた後は、いざ畑へ。田原さんの畑におじゃまさせてもらいました。
キウイの木はつる性で強い繁殖力を持つと言われており、確かに木を見ていると、一本の木から何本のつるがどこまで伸びているんだろう、と思うほどでした。
我々が取材に伺ったのは11月2日で、この日はまさに収穫期直前。見渡す限り、ずっしりと重そうなキウイが鈴生りで、見ているだけで心が満たされていきます。
産地訪問を始めてから感じたのですが、果物や野菜がたくさん生っている風景を見ると、気持ちが和らぐのです。やはり、食べ物がたくさんあるという安心感なのでしょうか?木漏れ日や太陽の光を受けた実がツヤツヤしながら揺れている、といった風景はいくら見ていても飽きません。
畑に繰り出した田原さんと藤井さんはキウイ談義が止まりません。特に藤井さんは田原さんに「師匠」と呼ばれるほど研究熱心な方で、我々にも多くのことを、わかりやすく教えてくださいました。
そんな藤井さんにキウイを栽培していて一番大変なことをうかがいました。それは受粉の作業だそうです。
キウイには、実を一切つけないオスの木と実をつけるメスの木があって、メスの花にオスの花の花粉を一つずつ手作業でつけていくのだそう。 その花粉を付ける際にも、めしべにまんべんなく花粉が付かないと、いびつな形の実になってしまうそうです。
受粉一つにもかなりの根気と確実性が求められるということですね。この鈴生りの畑を見ると、考えるだけで気が遠くなります・・・。 
▲キウイのオスの木
そんなふうに、てまひまと愛情をかけられて、丸々と大きく育ったキウイ。どうせならベストな状態で楽しみたい!おいしい食べ方を教わりました。
1. しっかり追熟させるべし!食べ頃を見逃すな
キウイは枝に付いている状態では熟さないので、収穫してすぐには食べられません。「追熟(ついじゅく)」といって、収穫後一定期間寝かせることが必要です。
1週間~10日程常温で置いておきます。りんごかバナナと一緒に袋に入れておくと、それらから出るエチレンというガスが熟すのを早めてくれます。軽く握ってやわらかくなったら食べ頃です。
収穫期には6度ほどの糖度が、追熟させることで12度くらいまで上がるそうです。
奈良県出身の筆者が子供の頃、給食に半分に切られたキウイが出たことがあったのですが、それがもう、すっぱいの固いので、あまりおいしくありませんでした。 そのせいで、キウイを見ても食べたいと思わない時期が結構長くありました。所変わって、やはり阿武町の給食にはしっかりと追熟され、甘くなったキウイが出されるのだそうです。
きっと阿武町にはキウイ嫌いの子供なんていないんでしょうね…。小さい頃の味覚の記憶って大事です。
2. キウイは櫛型に切るべし!輪切りは不公平だ
キウイの実で一番甘いのはお尻の方(枝が付いていない方)なんだそうです。「そんなこと言われても、どっちがどっちかわからないよ」という人。櫛型に切れば良いんです!そうすればバランスよく一番甘い部分が乗りますよね。
田原さんと藤井さん曰く、外食していて輪切りのキウイが出てきたら「あ、これすっぱいところや!あっちの皿に甘い方が乗ってる!」なんてことを思うこともあるそうです。
実際、田原さんのお宅でごちそうになったキウイは櫛型にカットされていました。
これを一口でパクッと食べると、確かに、甘みの強い部分と少し酸味のある部分があり、しかしそれらが最終的には一体となって何とも言えないおいしさになってとろ~っと口いっぱいに広がります。
これは輪切りや、スプーンでほじって食べたときには味わえません。お皿に山盛りあったキウイのほとんどを私一人で食べました。止まらなかったのでしょうがない。
おなかも知識も、もういっぱいです。お二人のおかげで、すごく満ち足りた時間を過ごさせていただきました。
最後に、今後の展望や夢などをお伺いしました。
藤井さんは、ヘイワードだけでなく何種類ものキウイの生産・研究をしていくこと。
田原さんは観光農園を開いて、もっと多くの人に阿武町のキウイを楽しんでほしい、とのことです。
にこにこと楽しそうに話をされるお二人の姿が印象的でした。